日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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シンメトリーな咬合床の製作方法
―基準となる咬合床の製作方法
大野 健夫
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2001 年 21 巻 3 号 p. 316-322

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抄録

総義歯を製作するとき, 咬合床を用いて咬合採得を行う工程があり, 咬合採得によって得られた情報に基づいてロー義歯が製作されることを考えれば, 咬合床の重要性が認識できる.そこで, 望ましい咬合床の備えておくべき条件と製作方法を考えてみた.
咬合床は構造的には基礎床と咬合堤からなり, 次の条件を満たしていなければならない.
(1) 基礎床は作業模型の模型面に対して適合精度がよい.
(2) 咬合堤は提示された垂直的数値, 水平的数値が正確に記入してあること.
このときには顔面正中線が示されていることはないので, 当然として正中口蓋縫線を正中線 (基準軸) として咬合堤が製作される.
そして, ヒトの顔が基本的に対称的であることを前提に考えれば, 有歯顎では, 上顎正中線を中心軸として左右対称の位置に同名部位の歯牙があり, 下顎歯列がその対向関係において上顎歯列と一致するなら, 下顎正中線を中心軸として左右対称の位置に同名部位の歯があり, 上下顎の同名部位の歯は対向関係において一致する.
以上のことから, 上下顎模型の各正中線を中心軸として水平的数値は左右対称であり, 上下顎の咬合堤の水平的数値は同じ大きさであることが望ましく, また, 患者によって顎骨の大きさが一人一人違うことを考えれば, 患者によってその垂直的数値や水平的数値の変化に対応できる製作方法でなければならない.
「また, 同一患者においては, その患者がどの分類に属していようとも上下顎顎堤の間には, 時系列的変化にかかわらず, そこには普遍的な共通性があると考えている」
以上のことを考慮したシンメトリー (左右対称) な咬合床の製作方法を述べる.
咬合床製作の工程は, (1) 作業模型上にガイドラインの記入, (2) 基礎床の製作, (3) 咬合堤の製作, の順序で行う.また, 咬合床を製作するには特別な器具は必要とせず10cmの三角定規があれば十分であるが, より寸法精度を上げるために自家製の器具を開発している.また, 規格模型の制作に関しては「目で見るコンプリートデンチャー」のp.97を参考にしている.

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