日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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咬合形態と臼歯離開との関係に関する研究
花島 美和榊原 功二佐藤 貞雄
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2002 年 22 巻 3 号 p. 310-317

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抄録

パラファンクション, 特にブラキシズムなどの強い滑走運動において, 後方臼歯を離開させることは, 異常な筋活動による歯や歯周組織あるいは顎関節への過剰な負担を予防するために重要である.しかし, 日常の咬合再構成において, 咬合器上では確実に臼歯を離開させたつもりでも, 口腔内では必ずしも離開しないことがある.これは, 作業側下顎頭の後退運動が一つの原因になっているものと考えられる.そこで本研究では, 咬合平面の傾斜と臼歯離開量との関係, 咬合平面の傾斜と下顎運動経路との関係, 作業側下顎頭の後方運動と臼歯離開量との関係, 作業側下顎頭の後方運動におけるSpee彎曲と臼歯離開との関係などについて検討した.その結果, 後方運動時に臼歯を離開させるために歯列全体の咬合平面を急峻にすることは, 下顎の前方運動においては臼歯が離開しにくくなり, 咬頭干渉の危険性が増すこと, また, Spee彎曲をある程度強くすることは, 後方に向かって徐々に咬合平面を急峻にしていくことを意味し, 下顎の後方運動時に大臼歯部の干渉を避けるために有効であることが確認された.

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