抄録
医療現場において, アレルギーや全身疾患などにより, 薬剤や診療器具の使用が難しい患者や, 原因不明の痛みや麻痺を伴い, 今までの西洋医学的療法の限界を感じる場面が増えてきている.このような背景から, 代替医療に注目が集まり, なかでも見直されているものに東洋医学があげられる.今後, 歯科領域の分野でも東洋医学的知識は欠かせないものとなると予測される.しかし, 実際の医療現場においては, まだまだ未開の療法, 未知なる原理によるもの, さらには奇な現象と考えられている部分も多く, 治療法の第一選択となることは少ない.そこで本稿では, 歯科臨床における鍼療法の応用と現象を検証し, その有効性について概説する.