日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
Online ISSN : 1884-8230
Print ISSN : 1346-8111
ISSN-L : 1346-8111
Hydroxyapatite (HA) コーティング・インプラントの臨床経過と残存歯の歯周病パラメータとの関係
藤野 茂高木 敦子松原 洋子佐藤 陽子
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 23 巻 3-4 号 p. 282-288

詳細
抄録

HAコーティング・インプラントを臨床に応用したインプラント治療患者について, インプラント体の臨床経過と共に, 同一口腔内の残存歯の歯周病パラメータとして, プラーク指数, プロービング値及びプロービング時の出血の有無, インプラント埋入時点での歯槽骨の喪失量を臨床的に調査した.
その結果, HAコーティング・インプラントは初診時に同一口腔内における, 残存歯の歯槽骨の喪失量が多く, 炎症性の歯周ポケットが多く存在した症例ほど, インプラント治療前に歯周病の治療を行い, 残存歯の歯周ポケット値や, 炎症が改善されたにも関わらず, 長期予後経過において, インプラント体周囲に骨吸収やインプラント体の脱落する症例が多かったことが示された.
この調査結果は, 残存歯の歯周病の既往が, 同一口腔内のインプラント体のインプラント周囲炎に影響を与えることを示したと共に, HAコーティング・インプラントを応用した治療を開始する場合, 一つの術前診断の臨床的パラメータとして使用できる可能性をも示唆した.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本顎咬合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top