抄録
重度歯周炎によって臼歯を喪失し, 摂食障害をきたした患者に対して, 歯周外科などの歯周治療後, 清掃性, 審美性とともに残存歯の二次固定効果を期待して, コーヌステレスコープデンチャーによる最終補綴を行った.その後, 6ヵ月ごとのメインテナンスに移行し, 経過は良好であったが, 4年後に, 2近心に, 咬合性外傷が誘因と思われる垂直性骨吸収を認めたため, 咬合調整と歯周外科処置を行った.現在, 最終補綴後12年経過しているが, 著明な歯周組織の変化は見られず, 良好な経過が得られている, 今回の症例を通して, 歯の欠損を伴う重度歯周炎患者に対する最終補綴として, コーヌステレスコープデンチャーが有効であること, さらに, 定期的なメインテナンスの重要性を再認識した.