日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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下顎臼歯部欠損症例に対するインプラント治療の一考察
牧野 賢嗣松田 哲荒木 久生
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2005 年 25 巻 1-2 号 p. 148-158

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抄録

オッセオインテグレーティドインプラントの長期的な予知性が証明され, インプラント治療が予知性の高い治療法として認知されている.特に遊離端欠損症例では, インプラント補綴がもっとも予知性の高い治療法と思われる.今回, 下顎両側臼歯欠損部にインプラント, 上顎はオーバーデンチャーによる咬合再構成を行い, 良好な結果が得られたので, 若干の考察を加え報告する.
症例は59歳の男性である.義歯作製を主訴として来院.初診時, 33~7, 5~578が残存し, 慢性歯周炎, 根尖性歯周炎およびカリエスを認めた.上顎には義歯, 下顎には適合不良な補綴物が装着され, 右側臼歯部には咬合支持がなく, 咬合は不安定な状態であった.歯周基本治療として, 予後不良と思われる7, 58を抜歯, スケーリング, ルートプレーニング, カリエスコントロール, 根管治療および治療用義歯作製を行った.再評価後, 上顎残存歯に歯周外科処置, 下顎欠損部に自家骨移植とGBR法を併用したインプラント埋入を行った.二次手術時にインプラント周囲角化組織の獲得, プロビジョナルレストレーションにて咬合機能の回復後, 最終補綴へ移行した.また, 上顎は残存歯に磁性アタッチメントを用いたオーバーデンチャーとした.現在, 歯周組織・咬合ともに安定しており, 良好に経過している.

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