日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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上顎臼歯部に対する口腔インプラント治療の手術法に関する臨床的検討―インプラント治療における上顎臼歯部の手術法―
室木 俊美西多 直規
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2005 年 25 巻 1-2 号 p. 173-178

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抄録
近年, 口腔インプラント治療は, 基礎および臨床的研究から子知性の高さが証明され, さまざまな顎骨形態に対して行われている.しかし, 上顎臼歯部の場合, その解剖学的特長から予期せぬ失敗に終わる場合も少なくなく, 埋入手術が困難な場合は, 予知性の乏しい部位とされている.
今回われわれは, 当院開設の平成9年10月から平成15年12月31日の6年2ヵ月に経験した症例から, 特に, 上顎臼歯部に埋入されたインプラントの手術法とその予後について分析した.
総患者数は, 138名 (22.1名/年間) , 手術件数は166例 (26.6例/年間) , 埋入本数は417本 (5.6本/月間) であった.このうち, 上顎埋入本数は, 148本で全体の約35.5%を占め, 臼歯部本数は77本 (右側43本, 左側34本) で上顎前歯部とほぼ同数であった.
手術法別での検討は, 非定型的埋入手術が60本で78%を占め, 内訳は, 歯槽頂アプローチによるサイナスフロアエレベーション (Bone Added Osteotome Sinus Floor Elevation: BAOSFE) がもっとも多く30症例47本, 側方アプローチによるサイナスフロアエレベーションは2症例3本, リッジエキスパンジョン法が1症例2本であった.また, 定型的埋入手術は, 7症例17本で22%であった.
failure症例の検討では, 早期型異常 (early failure) が5本, 遅延型異常 (latefailure) が3本であった.これらは, 定型的埋入手術で行ったものが2本, 非定型的埋入手術が6本であり, これらの原因についても検討した.
ソケットリフト法 (BAOSFE) が多かったため, 低位上顎洞と超低位上顎洞症例に対する手術法の違いと, それぞれの手術法における移植骨の経時的な変化を術後のCTからも観察した.
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