日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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先天性欠如部位に犬歯誘導を付与したインプラント症例
犬井 正
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2006 年 26 巻 1-2 号 p. 104-111

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抄録

近年, 単独歯欠損に補綴オプションの第一選択として, インプラントが多く用いられるようになり, 1欠損1インプラントの概念が徐々に浸透しつつある.
しかしいまだに, 臼歯インプラントの上部構造は側方咬合接触を避けることが望ましいとされている.さらに前歯部においては, 天然歯が機能時にインプラントを守るようにデザインされることが多く, 審美的役割に重点をおき, 機能的役割は軽んじられる傾向にある.
.一方, 顎の退化傾向にともない先天性欠如症は以前よりはるかに多いと報告されていて, 矯正治療においては難症例となることが多い.このような症例においてもインプラントは多く用いられている, しかし欠如歯にそれぞれの機能的役割をインプラントに代行させるに至っておらず, これからの重要な課題になってきている.
今回, 上顎両側犬歯先天性欠如症に対し矯正治療後インプラントを埋入し, 犬歯本来の機能的役割を与え, 他歯と顎関節の調和を図った症例を報告する.

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