日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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臼歯部域に埋入したワイヤ放電加工表面をもつ純チタン製骨内インプラント5~10年間の臨床研究
藤野 茂高島 英俊杉山 和孝
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2007 年 27 巻 1-2 号 p. 84-91

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抄録

純チタンのワイヤ放電加工表面を持つ骨内インプラント・システム (IAT Fit®) の臨床応用は1995年に開始された.本研究では, 3施設において, 24歳から77歳までの患者96名に, IAT Fitインプラント297本を埋入した.上顎臼歯部位が56本, 下顎臼歯部位が241本であった.5~10年の経過観察期間中に, 297本のうち, 2次手術 (アバットメント装着手術) 時点から上部構造体装着までの期間に, オッセオインテグレーションの早期失敗により脱落したインプラント体は患者3名, 8本 (2.7%) で, 上部構造体装着後の期間でのインプラント体の脱落は患者2名の5本 (1.7%) であった.
累積残存率は生命分析表により求めた.また, 比較検討項目は埋入部位の上顎と下顎, インプラント体の長径の8mm以下と10mm以上であった.本調査における5年から10年間でのインプラント体の累積的残存率は95.6%であった.また, 埋入部位, インプラント体の長径については, その残存率に有意の差は認められなかった.
この結果, 純チタンのワイヤ放電加工表面の持つ骨内インプラントは5年から10年間の長期間で良好な骨適合性を臨床で示し, インプラント体は埋入部位, インプラント体の長径に影響されない高い残存率を維持した.

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