日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
Online ISSN : 1884-8230
Print ISSN : 1346-8111
ISSN-L : 1346-8111
27 巻 , 1-2 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 小坪 義博
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 16-23
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年, 磁性アタッチメントは予知性のある維持装置として歯科臨床に用いられ, 良好な予後が得られている.磁性アタッチメントの種類や形も多く, われわれ臨床医は用途の範囲が広くなっている.日本は, 超高齢化社会へ急速に変貌しており, 2050年頃には65歳以上の人口割合は約32%にまで達するであろうと言われている.顎堤が吸収している患者が増えて, 義歯の維持安定はさらに難しくなっていくであろう.磁性アタッチメントは, 義歯の安定を容易にするので, これからの治療法として広く普及していくと思われる.磁性アタッチメントの優位性は維持力の普遍性である.支持装置としてインプラントを用いることは, 義歯の安定と咀嚼効率の向上に非常に有効であり, 患者のQOLの改善をともなう, 維持装置としていくつかの方法が考えられるが, その中でもバーアタッチメントと磁性アタッチメントは比較的安定度の高い方法である.
    本稿では, いくつかのケースを通して装置の概略と使用法を検証する.
  • ―その2痛みに対する効果―
    石幡 伸雄, 野村 義明, 水谷 紘
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 24-31
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    かみ癖の視点から, 顎関節症を下顎の運動障害と捉えて対処することによって, 良好な成績が得られている.前報で, 下顎の運動障害が痛みや関節雑音を惹起するという考え方を示したが, まず本論文ではかみ癖の視点からの対処法が顎関節症の痛みという症状に効果のあることを症例を通して示す.
  • 菅野 詩子, 菅野 博康
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 32-39
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    日常臨床のなかで咬合再構成を必要とする症例は少なくない.欠損状態や補綴方法にかかわらず, 咬合再構成時に必要とされるのは安定した下顎位である.言葉のうえでは至極あたりまえのことであり, またその重要性も認識されてはいるものの, 日常臨床のなかでの下顎位の評価は, まだ「別枠のもの」としてとらえられているように思われる.
    下顎位は歯牙位, 下顎頭位からではなく, 左右の咀嚼関連筋群の生理的緊張のバランスが保たれた状態が, 生体にとって安定した下顎位であると考えることができ, 下顎位は筋肉位から求めていくことが望ましい.
    下顎位を評価する際, あるいはテンポラリークラウン, 症例によってはスプリントの適正な調整がなされた後に, 最終補綴装置を製作・装着する際, もっとも重要なことは, どのようにその下顎位を変化させることなく再現 (咬合採得) するかである.ほんのわずかな歯牙接触でさえ下顎位を変化させることになり, 安定した下顎位に影響を与える.
    Luciaのアンテリアー・ジグ, リーフ・ゲージ, ゴシックアーチ・トレーサーを用いると, 力を加えることなく咬合採得できるといわれているが, 実際には咬合力が生じており, 下顎位に影響を与えてしまっている.大きな機器の装着を余儀なくされる下顎運動計測装置も明らかに下顎位に影響を与えていると考えられる.また, 下顎運動を計測することが下顎位を評価することには至らない.
    これらの点をふまえて, 咬合再構成を必要とした3症例 (Cr-Br, Cr-Brwith TMD, F.D.) を通してどのように下顎位を考え評価するべきかを述べている.咬合採得法にはチンポイント変法を, 下顎位の評価にはディナーのセントリック・リレーターおよびベリーチェック・インストゥルメントをスプリット・キャスト・テクニックとともに用いた.
    日常臨床のなかで下顎位を評価することは長期の咬合の安定へとつながっていくと考える.
  • ―リクスの最小化を考える―
    国賀 就一郎
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 40-49
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    筒井昌秀・照子先生の提唱される包括歯科臨床においてもっとも重要な点は, 最小の侵襲で最大の効果をもたらすために, 炎症と機能をコントロールしながら, いかに的確な診査・診断に基づいた治療, メインテナンスを行うか, ということである.そのためには, マクロからミクロにいたる視点とトップダウンとボトムアップが交差する治療が必要となる.なかでも咬合再構成が求められるようなケースでは, 各ステップにおける治療の精度と手順, または客観的な再評価の是非により, 結果が大きく左右される.
    そこで, 今回全顎的な咬合再構成において苦慮した症例を通して, そのポイントとなるところを整理し, 報告したいと思う.
  • 藤本 博
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 50-59
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    私たちは咬合崩壊している患者の個々の口腔内を目の前にしたとき, 何を守り, 何を目指すのかを明確にしておかなければならない.患者自身が本来持っている生体の治癒力の再賦活化を促進し, 美しい天然歯列の再現とメインテナンスのしやすい環境の構築を目指す.そのために行うべきことは, 原因の究明に基づいた診断とその診断の上に成り立つ治療ゴールの設定, そしてトリートメントプランの作成である.
    実際に治療を行うにあたっては, 残存する歯牙および歯槽骨を含む歯周組織を可及的に保存しつつ, インプラント, 矯正, 再生療法, 補綴などさまざまな治療のオプションを用いることによって病的咬合状態から脱却し, 治療咬合を与え, 口腔の健康を回復し, さらに術者側と患者側双方がメインテナンスしやすい環境を整えておかなければならないと考える.
    必要十分な資料を収集・分析し, そこから原因の推考に基づく診断を行い, 適切な治療オプションの選択をすることが治療成功の鍵となる.つまり, 診断をしたときにその症例の治療の成否は決まっているのである.個々の症例に応じた的確な診断を下せることが, 見立ての良い歯科医師の条件であると考えている.
  • 木下 俊克
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 60-69
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    昨今の医療機器の進歩にともない日常臨床においても, 咀嚼時を含む下顎の機能運動を身近に診ることができる時代となった.かつて, 筆者もナソロジーの咬合論を学び, 従来の咬合器の分析を主体にした臨床を行ってきたが, すべての症例が理論どおりにいくとは限らなかった.これにはさまざまな原因が考えられるが, 一番大きな要因としては, 従来の咬合論が生体を咬合器に移し変えて限界運動路を分析することを中心に展開されてきたことにあると考えている.実際の咀嚼において, 生体は限界運動で咀嚼はしないし, 限界運動と咀嚼運動は別ルートである.そして当然のことながら, 咀嚼運動は咬合面形態に大きく影響を受ける.
    今回は, 実際の咀嚼運動時における下顎の動きがイメージになかった頃, 筆者が行った咬合分析を, 咬合器主体に行った症例に対する反省をもとにその問題点を考察し, 現在行っている包括歯科臨床における咬合治療の実際を提示し, 諸兄に教えを請うものである.
  • 趙 公亮, 許 文庠, 朱 建興, 張 淵源
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 70-77
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 定永 健男
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 78-83
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    高度に顎堤の吸収した下顎の無歯顎, 片側遊離端, 両側遊離端の5症例に下歯槽管より神経血管束を引き出してインプラントを埋入し, 固定性の補綴物を装着した.
    下歯槽神経の側方移動をおこない8本のインプラントを下顎臼歯部に埋入した.8本すべて骨結合が得られた.そのうちの6本は, 骨結合による強固な固定が得られた.1症例の片側1部位に術後の知覚異常が残った.残りの7インプラント部位は3ヵ月以内に下顎の感覚機能はほぼ回復した.
  • 藤野 茂, 高島 英俊, 杉山 和孝
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 84-91
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    純チタンのワイヤ放電加工表面を持つ骨内インプラント・システム (IAT Fit®) の臨床応用は1995年に開始された.本研究では, 3施設において, 24歳から77歳までの患者96名に, IAT Fitインプラント297本を埋入した.上顎臼歯部位が56本, 下顎臼歯部位が241本であった.5~10年の経過観察期間中に, 297本のうち, 2次手術 (アバットメント装着手術) 時点から上部構造体装着までの期間に, オッセオインテグレーションの早期失敗により脱落したインプラント体は患者3名, 8本 (2.7%) で, 上部構造体装着後の期間でのインプラント体の脱落は患者2名の5本 (1.7%) であった.
    累積残存率は生命分析表により求めた.また, 比較検討項目は埋入部位の上顎と下顎, インプラント体の長径の8mm以下と10mm以上であった.本調査における5年から10年間でのインプラント体の累積的残存率は95.6%であった.また, 埋入部位, インプラント体の長径については, その残存率に有意の差は認められなかった.
    この結果, 純チタンのワイヤ放電加工表面の持つ骨内インプラントは5年から10年間の長期間で良好な骨適合性を臨床で示し, インプラント体は埋入部位, インプラント体の長径に影響されない高い残存率を維持した.
  • 桝屋 順一
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 92-101
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    昨今, インプラントを用いた咬合再構成は予知性のある手法として科学的に認知されるにいたっている.しかし, 咬合力が非常に強く, かつパラファンクションをともなった症例に遭遇した場合においても, インプラントはあくまでも治療のひとつのプロセスにすぎず, 治療ゴールを見据えたプロビジョナルレストレーションの役割が安定した咬合を確立する上で非常に重要となる.
    すなわちEsthetic・Function・Biology・Structureの要素の内でFunction (よく咬める) Structure (壊れない) の部分の経過観察および調整, 設計変更の有無の診査が重要となる.ブリッジかインプラントか? 単冠か連冠か? 補綴マテリアルのセレクションは? ガイドとなる歯は? インプラントの上部構造の形態は? など, さまざまなパラメーターが存在するなかで, 診断用ワクシングをプロビジョナルレストレーションという形で機能させることでその要素を決定し, Esthetic・Biologyをも兼ね備えたファイナルレストレーションへと導くことができる.
    今回は咬合力の強い1症例のケースプレゼンテーションを通して, 治療ゴールの設定および治療計画を根幹に据え, プロビジョナルレストレーションの重要性を述べてみたい.
  • ―2年半経過症例―
    脇田 雅文
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 102-107
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    上顎前歯部における抜歯即時埋入インプラントは, 治療期間の短縮などの利点が挙げられる.本稿では上顎中切歯部において抜歯即時埋入を行い, 良好な結果が得られたので報告する.
  • 三林 栄吾
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 108-117
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    一般的に矯正治療は, 修復・補綴学的な咬合治療と異なり, 全顎的な咬合再構築となることが多い.咬合再構築を行うと, 咬合の変化にともなって下顎や脳頭蓋系の変化・適応が起こる.それゆえ, とくに若年者に対しては, その適応を利用して治療することも可能であるが, 一方では不注意な咬合変化を与えると機能障害を誘発する危険性が高い.その意味で, 顎位が重要となってくる.この顎位の確認がきちんとされているかによって矯正治療の結果が左右されると思われる.どこの下顎位で咬合を作り上げるのかによって歯の移動方向や量に違いが現れてくるため, まずは目標とする下顎 (TRP) を設定することが大切である.「顎位は目に見えにくい」ものであるので, 機能障害を検査するのに, 当院では, 各セファロ分析, 機能分析以外にSAM咬合器, 下顎位診断器 (MPI) とCADIAXなどを使用している.
    また, 骨格性不正咬合を脳頭蓋底との関係を視野にいれた垂直的高径の問題として捉えることにより, 改善可能な不正咬合が多く存在することがわかってきた.成人における関節円板の転移は3割以上あるとの論文もあり, 審美的な面だけでなく各個人による矯正治療目標としての機能咬合が確立されていることが大切である.
  • 荒井 和美, 安生 朝子
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 118-125
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    日本人の成人のほとんどが罹患していると言われる歯周疾患は, う蝕やメタボリックシンドロームに代表される内科的疾患とともに生活習慣病と言われている.歯周疾患は一度進行すると, 程度の差はあれ確実に進行し, 歯周組織の破壊へ繋がり, 何らかの補綴処置に踏み込まざるを得なくなる.
    私たち歯科衛生士は, 多くの患者さんに健康で快適な生活を営んでいただくために, 歯周組織や口腔全体を知るだけでなく, 人間としての患者さんに添ってサポートを継続しなければならない.
    そして私は, 多くの患者さんが, 健康を自分で守るという意識に気付いて自立し, みずから歩き始めていただくことを大きな目標と考えている.
  • 第4報: アンチエイジング歯科医療と矯正歯科
    中納 治久, 大森 史枝, 久保田 雅人, 槇 宏太郎
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 126-137
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年, 平均寿命の伸びや出生率の低下により少子高齢化が急速に進んでいる.このことは, 公的医療保険の負担が限界に近づいていることを意味する.しかし, 高齢者の多くが健康であればその負担は抑えられる.つまり, 従来の医療が対象にしていた「病気の治療」から, 「健康な人のさらなる健康」に転換する必要がある.それが, アンチエイジング (抗加齢) 医療である.つまり, 人の健康にとって重要である口腔に関して, 歯科, とくに矯正歯科領域においても, 「不正咬合による障害が起こる前に予防する」ことが, 積極的なアンチエイジング歯科医療として重要である.
    本稿では, 下顎前歯の外傷性咬合をともなう前歯部フレアーアウト症例, 埋伏歯をともなう前歯部萌出障害症例に対して早期治療を試みた.その結果,
    1.上顎前歯口蓋側歯肉に下顎前歯の圧痕をともなう上顎前突症例に対して早期治療した結果, 上顎前突改善のみでなく, 臼歯部崩壊による前歯部フレアーアウトや正中離開・上顎前歯口蓋側歯肉の退縮を起こすことを未然に予防できた.
    2.上顎右側中切歯の水平埋伏をともなった症例に対して早期治療した結果, 埋伏歯が原因で叢生や隣在歯の歯根吸収が起こることを未然に予防できた.
    以上より, 「不正咬合による障害が起こる前に予防する」ことが, 積極的なアンチエイジング歯科医療として重要であると示唆された.
  • 林 丈一朗, 申 基〓
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 138-143
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • ―咬合スコア委員会報告―
    竹中 めぐみ, 細川 隆司, 並木 一郎, 野玉 智弘, 細山 愃, 矢澤 正人, 山地 良子, 保母須 弥也
    2007 年 27 巻 1-2 号 p. 144-147
    発行日: 2007/04/23
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top