2008 年 28 巻 4 号 p. 208-213
当院では, 開業当初よりPMTCを導入し, 唾液検査, 食習慣指導, 筋機能訓練など患者の状況に応じた予防歯科臨床を行ってきた.近年, 10年以上経過症例を診る機会が多くなっているが, メインテナンスを毎回欠かさず受けていたにもかかわらず抜歯に至ったケースもあれば, 時々思い出したように来院していただけであるのに状態が維持されているケースなど, さまざまなケースがある.
本論文では, 毎回予防の大切さを啓蒙してきた当院の臨床が, 来院した患者の利益となったかどうかの検証を試みるため, 東京歯科大学衛生講座・非常勤講師の吉野浩一先生による「歯のパーセンタイル曲線」11 (図1) を用いて10年間の残存歯牙数を比較することにより予防歯科の効果を調べた.その結果, 興味深い知見が得られたため, ここに発表する.