JACET中部支部紀要
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研究論文
話し合いによる問題解決に基づくEFLリーディングストラテジー指導の効果の分析
森 明智
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2022 年 20 巻 p. 63-83

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抄録

本研究は、EFL環境下の英語リーディング学習におけるリーディングストラテジー使用を目的とした指導において、読み手が英語リーディングを行う中で直面する困難さや疑問を仲間や教員も含めた話し合いにより解決する観点に基づく指導を行い、その効果の分析結果を報告する。第1言語だけでなく外国語におけるリーディングにおいても、熟達した読み手は自動化され潜在意識的なリーディング理解を進めるが、文中の困難さに直面する時、意識的で制御された形のストラテジーを用いたリーディング理解を行う点が指摘されている(Kintsch, 1998)。様々な困難さに対して熟達した読み手は多様なリーディングストラテジーを適確に使用する点が明らかになるにつれて、第2言語や外国語によるリーディングストラテジー使用を目的とした指導が研究されてきた。その中でも、本研究は、上記のリーディングストラテジーの定義に基づき、読み手自身が直面している困難さを(母語を用いる形式を含めて)仲間や教員との間で言語化し、話し合いにより解決する中でリーディングストラテジーの使用を意識し、習得する指導形式に着目し、実践を行った。結果、指導開始前と終了時におけるリーディングテストの結果は有意差を伴う上昇を示し、質問紙の探索的因子分析の結果、困難さや疑問点を話し合いにより解決する下位尺度が負荷量を持つ因子として示された。リーディングテスト結果を含めた共分散構造分析(パス図)の適合値は許容範囲の値を示し、上記の因子は間接的にリーディングストラテジーとリーディング力に影響を与える可能性が示された。

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© 2022 一般社団法人大学英語教育学会中部支部
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