日本地域看護学会誌
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農村部における地域の文化を考慮した生活習慣病予防の保健指導方法 : 主体的な行動変容を促すために
丸谷 美紀宮﨑 美砂子
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2009 年 11 巻 2 号 p. 38-45

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抄録

目的:農村部の保健師が生活習慣病予防の保健指導で考慮している地域の文化の内容と援助行為を調査し,農村部の地域の文化に即した生活習慣病予防の保健指導方法を明らかにする.方法:農村部の保健師3名が行う生活習慣病予防の保健指導場面の参加観察,保健師への聞き取り,記録類の閲覧をした.14事例から「a.保健師が考慮していた地域の文化の内容」「b.援助行為」「c.指導対象者の反応」を抽出し,性質の類似性を捉えて質的帰納的に分類整理した.各事例の「b.援助行為」と「c.指導対象者の反応」の関係を「援助と反応の関係」とし,さらにそれら3つから「保健指導方法」を読み取った.結果:保健師は,指導対象者の生活を形成してきた時代背景,職業,社会構造を踏まえた,定着している生活習慣や価値観,新たな健康習慣を考慮していた.保健指導方法は「生活習慣病の要因となりがちな地域の文化を話題にし,生活習慣病の要因の有無を確認し指導対象者の気づきを促す」「地域の文化が生活習慣病の要因となりうる根拠を,指導対象者の経験や医学的知識に関連づけて説明し,行動変容を動機づける」「地域の文化の指導対象者にとっての意味や変更の難しさを共有し,意思決定を支える」「地域の文化に引きつけた生活習慣病予防の方法を提案・支持し,実行を支える」に整理された.考察:時代背景・職業・社会構造を踏まえた生活や価値観,新たな健康習慣を考慮して,生活習慣病の要因となっている事柄への指導対象者の気づきと理解を促し,行動変容への動機づけ,安心・安楽を与え,目標設定を支えることにより,主体的な行動変容を促すことができる.

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© 2009 一般社団法人 日本地域看護学会
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