日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
同居家族との死別を体験した在宅高齢者の閉じこもりについての比較検討 : 性差による比較
岡本 双美子河野 あゆみ津村 智恵子曽我部 ゆかり
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2009 年 11 巻 2 号 p. 31-37

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抄録

目的:本研究では,A市B地区に住む高齢者の同居家族との死別を体験した者と,性別による特徴について比較検討を行い,同居家族との死別を体験した在宅高齢者の閉じこもり状況を明らかにすることを目的とする.方法:A市B地区に住む全在宅高齢者4,523人に郵送調査を実施し,回収者3,420人(75.6%)中,死別を体験した72人(2.1%)を対象とした.対象群の年齢・性別・自立度についてマッチングを行い,対照群72人を得た.分析は,死別体験の有無と性別による比較検討をχ2検定にて行った.結果:分析対象者144人のうち,男性は46人(31.9%),女性98人(68.1%),平均年齢73.2歳(SD6.2),自立度はJ1・J2の者が128人(88.9%)であった.死別を体験した者は,未体験者に比べて一人暮らしで,自分で買い物をする者が多かった.しかし,用事を頼める人がいない者が多かった.また,男性の死別体験者は,家族や友人の相談にのっている者が少なく,用事を頼める人,看病や世話をしてくれる人,災害時に声をかけてくれる人がいない者が多かった.さらに,行政サービスの利用意向が低い者が多かった.結論:男性は女性に比べて人との交流が乏しく,特に男性死別体験者はソーシャルサポートも乏しいことが明らかになった.また,サービス利用の意向も低いことから,社会とのつながりをもてるような支援が必要である.

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© 2009 一般社団法人 日本地域看護学会
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