抄録
目的:認知症高齢者グループホーム(以下,GH)における入居者の健康管理病状の変化や事故への対応,看護体制に関する実態と課題を把握する.方法:神奈川県内のGH442施設を対象として郵送法による質問紙調査を行った.結果:175施設から回答があった(回収率39.6%).定期的な通院・往診が必要な入居者がいるGHは7割以上であり,日常的な医療処置として皮膚処置が49.7%,浣腸・摘便が19.4%の施設で行われていた.過去3カ月間に病状の変化や事故は延べ460件あり,76施設(43.4%)で救急搬送を行っていた.看護職員がいる施設は65施設(37.2%),医療連携体制加算を算定している施設は80施設(45.7%)だった.看護職員の有無や加算算定の有無により,病状の変化や事故への対応に差はなかった.加算を算定して訪問看護ステーションと契約中のGHは14施設あり,訪問看護の効果として「医療面の対応が充実した」「症状の判断に迷ったときに相談できる」など,課題として「医師の意見と異なることがあり,判断に困る」などがあげられた.考察:GH入居者の医療・看護のニーズは高いと推察されたが,加算を算定している施設は半数以下であり,GHの医療連携において看護師の充足には課題があると考えられた.また,GH入居者の健康管理に訪問看護が一定の役割を果たしていることが示唆された.