抄録
目的:レジスタンス運動および有酸素運動,柔軟性運動から構成されるwell-rounded training(以下,WRTと省略)は,高齢者の体力向上に有効であることが示されている.本研究は,地方自治体による前期高齢女性を対象とした地域WRT教室終了後7カ月間の自主活動における前期高齢女性の身体活動への効果について検討した.方法:対象者は,中日本のある町に在住の前期高齢者の女性18名で,自治体によるWRT教室およびその終了後の自主的WRT参加者である.自治体による教室は,町の保健センター主催で週1回,3カ月間実施された.その参加者による自主活動は,2週間に1回,自主的に実施された.教室開始時と教室終了時そして教室終了7カ月後に,質問紙調査,体力測定等を実施した.結果:「現在の体力に自信がありますか」との質問項目において,教室開始時と比較し終了時および7カ月後においても改善が認められた.体力などの項目では,教室開始時に比べ教室終了時のみでなく7カ月後においても,10m歩行,椅子立ち上がり運動,全身反応時間,長座体前屈の項目において維持する効果が認められた.結論:地域WRT教室終了後のWRT自主活動が高齢者の健康の保持に寄与することが示唆された.WRTは,高齢者を対象とした有効な運動プログラムと考えられる.