抄録
目的:公務員を対象に認知行動療法を応用したストレスマネジメント教育の効果を明らかにする.方法:1公務職場の事務職員140名を介入群と待機群に割り付けし,介入群に4週間ごとに認知行動療法を応用した3回の講習会とセルフモニタリングを実施した.1回目はストレスとコーピングの講義,2回目は問題解決と認知再構成法のトレーニング,3回目はリラクセーションとグループ討論を行った.介入前後,終了1カ月後と6カ月後に自記式質問紙調査を実施した.介入群54名と待機群63名を対象に二元配置分散分析を用いて介入効果を解析した.結果:介入群は終了直後に問題解決と積極的認知対処およびソーシャルサポートが有意に増加した.終了1カ月後,問題解決と積極的認知対処は有意な増加を継続した.終了6カ月後,問題解決とヘルスコンピテンスの有意な増加がみられた.ストレスマネジメント行動実践に関する関心度は,介入群で有意な変化があり,関心の高まりが確認できた.ストレス反応には有意な変化はなかった.結論:ストレス軽減に有効といわれているコーピングの向上がみられた.労働者を対象にしたストレスマネジメントの介入研究はまだ少ないため,さらなる研究が必要である,