抄録
目的:本研究の目的は,共同研究をした看護系大学教員と行政保健師の双方の共同研究のプロセスや成果についての意見から,教員および保健師にとって,共同研究を行った利点と協働の方法を明らかにすることである.方法:教員と保健師が共同で報告している6つの地域看護の研究課題の教員7人と保健師9人を対象に,研究者2人による半構造的インタビューによりデータ収集し,質的に分析した.結果:共同研究の利点は10の大カテゴリー【住民サービスの向上】【健康指標の改善】【保健師の実践の充実・改善】【実践に対する保健師の認識の深まり】【教育活動の充実】【研究活動の発展】【協働者である保健師の人材育成】【他の保健師への波及】【地域の看護職の学習の機会】【大学と保健師間の関係作り】に集約された.また,教員と保健師による協働の方法は,7つの大カテゴリー【研究開始の契機をつくる】【保健師活動をふり返り評価し,実践につなげる】【研究としての質を保証する】【互いの役割分担と責任を遂行する】【協働の関係性を構築する】【協働のための条件を整備する】【学習の機会とする】に集約された.考察:共同研究を通して互いに利点をもたらす協働の方法として,(1)互いに主体的に取り組む協働の方法,(2)両者にとって利点をもたらすための条件整備,(3)保健師の学習の機会とする協働の方法が重要である.