日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
高校生の将来喫煙のリスクに対応した喫煙防止教育の効果の検討
大塚 敏子荒木田 美香子三上 洋
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 14 巻 2 号 p. 72-81

詳細
抄録
目的:高校生の将来喫煙のリスクに対応した喫煙防止教育プログラムを考案し,将来喫煙のリスク群ごとにその効果を検証することを目的とした.方法:便宜的に抽出された近畿3府県の3高等学校の1年生548人(男子234人,女子314人)を対象に,考案した喫煙防止教育の実施および自記式質問紙調査(実施前後,実施6か月後)による評価を行った.質問項目は性別,喫煙行動,将来の喫煙意思,喫煙の勧めを断る自信,禁煙勧奨意欲,喫煙者の禁煙への関心等である.教育はグループワークを含む50分間の講義と,事前調査時点の喫煙行動と将来の喫煙意思から把握した将来喫煙のリスク(低,中,高リスク群に分類)に応じて行うホームワークであり,教育の効果を将来喫煙のリスク群ごとに設けた教育目標に沿って検証した.結果:低リスク群では本プログラムによる有意な変化はほとんどみられなかった.中リスク群では男子の将来の喫煙意思で有意な改善がみられたが,それ以外の項目では有意な変化はなかった.高リスク群では将来の喫煙意思,禁煙への関心等で有意な改善がみられた.結論:本研究で行った生徒のリスクに対応した喫煙防止教育は中リスク群については効果が小さかったが,高リスク群には一定の効果が認められたと考えられる.今後中リスク群への教育効果の向上を目指し,中リスク群で重要な喫煙の勧めを断る自信等を強化する教育内容の再検討が必要である.
著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本地域看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top