抄録
目的:知的障害特別支援学校の児童生徒を抱える家族のストレスやニーズ,ソーシャルサポートとその関連性について明らかにする.方法:知的障害特別支援学校児童生徒の家族594人を対象に,持ち帰り学校一括留置法による無記名自記式質問紙調査を実施した.回収数は453人(回収率76.3%)であり,436人(有効回答率73.4%)を分析対象とした.調査は情動的・行動的サポート尺度,サポート源尺度,ストレス尺度,家族ニーズ尺度を用いた.分析は,家族ニーズ尺度,サポート源尺度は因子分析を行った.知的障害児および家族の各尺度はt検定または一元配置分散分析,関連をPearson積率相関関係によって分析した.結果:核家族や,児が通院や服薬をしている家族ほどストレスが高い.児が自閉症,年齢が6〜11歳,12〜14歳の家族ほど,療育情報・相談,周囲の理解,療育環境整備へのニーズが高い.児の障害が重度,疾病が自閉症,服薬をしている児の家族ほど,また拡大家族や,母親が有職である家族ほどソーシャルサポートを受けていた.家族への情動的・行動的サポート,サポート源では家族,友達・近所,教育・医療機関,関係機関サポートとの間に正の相関が認められた。考察:家族支援のために関係する人々の情報交換や関係機関と連携した支援の重要性が示唆された.