抄録
本研究の目的は,精神障害者サポートグループにおいて用いられる看護職の支援技術にはどのようなものがあるかを明らかにすることである.精神障害者の参加するサポートグループにスタッフとして参加したことのある看護職5人を対象に,参加観察および半構成面接を行い,インタビュー内容を質的・因子探索的に分析した.看護職が精神障害者やグループに提供しているグループ支援技術として,〈気になる人を支援する〉〈メンバーを守る〉〈自己表出を支援する〉〈自分を見つめ客観視できるよう支援する〉〈成長を促す〉〈メンバーを受け止める〉〈対等にかかわる〉〈グループへの参加を支援する〉〈グループがメンバーを受け入れるよう支援する〉〈相互作用を促進する〉〈グループの枠を守る〉〈グループ活動を運営する〉〈グループで考えるよう支援する〉〈グループ活動をほかの支援活動と結びつける〉という14のカテゴリーが明らかになった.これらは,{精神障害者自身を支援する技術){精神障害者とグループをつなぐ技術}{個と個をつなぐ技術}{精神障害者グループにかかわる技術}に分類された.精神障害者であるメンバーに対して,グループという方法,場だからこそ提供されやすい支援技術は,メンバーの成長を促す支援と,〈対等にかかわる〉という支援技術であった.また,看護職が提供する支援技術には,ほかの職種が提供する支援技術と同様のカテゴリーが含まれていたが,メンバーを,疾患や障害・健康という視点でとらえる点,疾患の特徴をふまえ,その疾患をもつメンバーにとってのグループの意義を意識して個別の支援意図を組み合わせグループの場で支援する点,グループ活動の場だけでなく,その他の機会も含めて継続的に支援を行う点は,看護職の特有のものであった.