日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
関係者と協働してビジョンを目指す保健師活動(ビジョニング)の展開過程 : A町の発達障害者が生涯安心して暮らせるために地域ケアシステムを構築した事例を通して
大友 光恵包國 幸代坂梨 めぐみ大森 純子
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2012 年 14 巻 2 号 p. 136-142

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抄録
目的:発達障害者のために地域ケアシステムを構築した1事例から,保健師がビジョニングをしながら活動を展開する過程に,どのような段階があるのかを明らかにすることを目的とした.方法:発達障害者の就労を見据えて,地域ケアシステムの構築に取り組んだA町保健師3人,保育士5人,家族会メンバー1人に半構成的インタビューを実施し,質的に分析をした.結果:A町の保健師活動(ビジョニング)の段階を分析した結果,6つの段階【関係者と地域のビジョンを描いてきた】【協働の経験を積み重ねてきた】【関係者をつなげてきた】【ビジョンを共有する場をつくってきた】【関係者の力を発揮させてきた】【発達障害者を見守る地域ケアシステムを定着させてきた】があった.結論:保健師は,地域ケアシステムの進展に応じて,6つの段階を重層的,発展的に用いていた.つまり,これは,住民と地域のあるべき姿を描き,協働でビジョンを成し遂げることができるよう,保健師が意図的な介入を積み重ねていく展開過程であると考えられた.ビジョニングをしながら保健師が活動を展開することで,共通のビジョンを描き活動する過程で,関係者に熱意を生じさせ,ビジョンを目指した協働が可能になることが示唆された.
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© 2012 一般社団法人 日本地域看護学会
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