2012 年 15 巻 1 号 p. 52-60
目的:地域住民を対象とした認知症の病気と認知症を予防する健康行動,認知症高齢者とその家族を地域で支えることの理解を含む認知症の理解促進プログラム(以下,プログラム)を実施してプログラムを評価する.方法:対象者は大阪府下2市6地区の50歳以上の地域住民で,全3回のプログラムにすべて参加した106人である.評価は対象者によるプログラム実施前後の質問紙調査で行い,評価内容は認知症のイメージと知識認知症の症状に対応する自己効力感認知症高齢者を自分の地域で支えることに対する考え方とした.結果:対象者の認知症のイメージは「認知症になるのは恥ずかしい」と「認知症になるのは悲しい」,「認知症は自分には関係ない」と「認知症は身近に感じられる」でプログラム後に有意に改善した.また,認知症の知識量はプログラム後に有意に増加した.認知症の症状に対応する自己効力感は「暴言や暴行をする認知症高齢者に対応できる」でプログラム後に有意に向上した.認知症高齢者を地域で支えることに対する考え方は「認知症高齢者とその家族を自分の地域で支えることができると思う」で実施後に得点が上昇した.考察:対象者の特徴等で結果の解釈に限界はあるが,本プログラムが地域住民の認知症の適切な理解を促し,認知症高齢者とその家族を地域で支える必要性について考えられる可能性が示唆された.