日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
居宅の壮年期生活保護受給者の健康関連QOLとその関連要因
富田 早苗三徳 和子
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2012 年 15 巻 2 号 p. 7-17

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抄録
目的:居宅の壮年期生活保護受給者の健康関連QOLに関連する要因を明らかにし,健康支援の充実に向けた方策を得ることである.方法:対象者は,居宅の壮年期生活保護受給者(40〜64歳)765人である.方法は,2010年10月現在,A県内21か所すべての社会福祉事務所を対象に依頼し,同意の得られた17か所に無記名自記式質問紙調査票を配布し,郵送にて回収した.調査内容は,健康関連QOL,健康行動ソーシャルサポート等である。健康関連QOLはSF-8を用い,性別に身体的サマリースコア(以下,PCS),精神的サマリースコア(以下,MCS)を従属変数とする重回帰分析を行った.結果:有効回答は246人(有効回答率32.2%),男性のPCSは41.7±7.8,MCSは43.1±8.5,女性のPCSは43.1±8.5,MCSは42.4±8.4であった.重回帰分析の結果,男性のPCSでは,「主観的健康感」「筋骨格系疾患の有無」が,MCSでは,「主観的健康感」「うつ病の有無」「睡眠による休養の有無」「市町村健康情報記載の理解の有無」が関連していた.女性のPCSでは,「年齢」「主観的健康感」「身体障害者手帳の有無」「睡眠による休養の有無」「健康教室参加の有無」が,MCSでは,「うつ病の有無」「毎日の野菜の摂取」「最近1か月のストレスの有無」が関連していた.結論:居宅の壮年期生活保護受給者の健康関連QOLは低く,特に男女ともうつ病の有無がMCSに関連していた.適切な市町村健康情報の提供,栄養,休養の支援が健康関連QOLの向上に必要と示唆された.
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© 2012 一般社団法人 日本地域看護学会
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