目的:A保健所で実施した高次脳機能障がい者の家族を対象とするサポートグループ(以下,つどい)の参加者の変化を明らかにすることである.方法:本研究は,A保健所が,高次脳機能障がい者の家族会育成を目指して実施したアクションリサーチである.2008年4月〜2010年3月の,参加観察と面接による記録を,質的帰納的方法により分析した.本研究は,所属長および大学倫理委員会の承認を得た.結果:参加者は,第1期:情報を求める時期,第2期:それぞれが道をつけていく時期,第3期:自分で決めた道を歩き出す時期,という3つのプロセスで変化した.第1期の参加者は,【高次脳機能障がいがどんな障がいかわから】ず,【少しでもよくなるよう試行錯誤し必死に対応】していた.第2期には,【なにかようすが変なのは,高次脳機能障がいの症状だ】と認識し,【当事者のようすをみながら,社会的支援を受けることを検討する】ようになった.第3期には,【まだまださきは長いので焦らず気長にやっていくしかない】と受け止め,【当事者・家族・支援者など,いろいろな人に相談し,当事者を見守り,支える】ようになった.考察:参加者は,つどいで障がいに関するより具体的な情報を得て,共感的に受け止められるなかで,障がいを理解し,受け止め,必要な社会的支援を受けて,生活を再構築していった.つどいは,高次脳機能障がい者の家族の生活の再構築を助ける支援であり,身近な地域で実施されることが望ましい.
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