抄録
目的:自治体の保健師が職域との連携で用いた連携手段,また保健師が認識した成果とそれに関連する要因を明らかにすることを目的とした.方法:東京都を除く全国の自治体に勤務し,成人保健を担当している保健師計350人を対象に自記式質問紙調査を行った.結果:成果項目に関するクラスター分析の結果,5つのカテゴリーに分類できた.該当率が高かった成果項目は「これまで以上に働く世代の抱える健康課題を理解できた」76.5%,「職域関係者との信頼関係を構築できた」54.6%等であった.各自治体主催の連携推進協議会(以下,協議会)や学習会を開催するという連携手段はすべての成果カテゴリーと有意な正の関連が認められた.考察:職域との連携による成果として,「業務の負担が減った」「保健活動の評価方法を見いだせた」「会場借用料等の費用削減ができた」等についても保健師が認識していることを新たに把握できた.また,具体的な指標の改善や成果物などの成果を得るにはいまだ連携期間が短かった可能性が考えられた.各自治体主催の協議会や学習会を開催することは,効果的な連携手段である可能性がある.