抄録
目的:一般事務職を対象とし,自由意思に基づいて継続的に歩数計を使用できる者の特性について明らかにする.研究方法:105人にベースライン調査を実施し,歩数計を利用していなかった92人に歩数計を配付した.歩数計を身につけるかどうかは本人の意思に委ね,3週間後に歩数計を回収し,追跡質問紙調査を実施した.歩数計装着日数および追跡質問紙調査より,歩数計使用の「継続群」と「非継続群」に分類し,「継続群」「非継続群」を従属変数とした男女別の関連因子を検討した.結果:対象者105人の平均年齢は男性39.9±10.2歳,女性32.8±8.3歳であった.歩数計を配付した92人中,破損等で回収できなかった9人を除く83人(男性57人,女性26人)を分類した結果,継続群29人(男性17人,女性12人),非継続群54人(男性40人,女性14人)であった.多重ロジスティック回帰分析の結果,歩数計継続使用の関連因子として男性では「他人と協力しあうのは得意ではない」「健康維持・増進のための運動実施」,女性では「体重減量の意思」が抽出された.結論:一般事務職で継続的に歩数計を使用できる者の特性として,男性では集団よりも個別的な取り組みを好む傾向があること,定期的な運動習慣があること,女性では体重減量の意思があることが示唆された.