日本地域看護学会誌
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バヌアツ共和国の小学校高学年における市販食品摂取の関連要因
中世古 恵美松田 宣子小寺 さやか
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2015 年 18 巻 1 号 p. 65-74

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抄録

目的:バヌアツ共和国の小学校高学年における市販食品摂取の実態とその関連要因を明らかにする.方法:バヌアツ共和国の都市部と地方部の小学6〜8年生を対象に,市販食品摂取(肉または魚の缶詰,清涼飲料水,スナック菓子,市販の甘い菓子類)とその関連要因(基本属性,準備要因,強化要因)について自記式質問紙調査を実施した.市販食品4点の摂取頻度から合計16点満点の市販食品摂取得点を算出し,単変量解析を用い(マンホイットニーのU検定,スピアマンの順位相関),市販食品摂取に関連する要因を検討した.結果:対象者の9割以上が調査に同意し,同意を得られた者に質問紙を配付した.質問紙の配付数は,都市部194人,都市部221人,合計415人で,全員から質問紙を回収し,そのすべてを有効回答とした.生徒の市販食品摂取得点(平均値±標準偏差)は,8.9±3.1であった.単変量解析の結果,生徒の市販食品摂取には「居住地域」「食品への認識」「喫煙への関心」「市販食品認識得点」「家財道具保有数」が有意に関連していた.考察:単変量解析の結果から,都市部に居住している者,ローカル食品に対する肯定感が低い者,市販食品に対する肯定感が高い者,将来の喫煙を希望する者,家財道具を多く保有している者は,「市販食品摂取得点」が高い傾向にあることが確認された.学童期からの市販食品の摂取過多を防ぎ,将来の非感染性疾患の発症を予防するためには,これらの要因を考慮した保健教育プログラムの検討を行うとともに,保護者への教育的介入や環境面の整備を行っていく必要がある.

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© 2015 一般社団法人 日本地域看護学会
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