日本地域看護学会誌
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高齢終末期がん患者の在宅移行支援と課題 : がん診療連携拠点病院における病棟看護師の経験から(地域看護活動報告)
東 清巳日浦 瑞枝
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2015 年 18 巻 1 号 p. 75-81

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抄録

目的:がん診療連携拠点病院の5人の病棟看護師による高齢終末期がん患者の在宅移行に向けた支援の経験を明らかにし,支援を促進するための課題を検討した.方法:2008年11月,A県3か所のがん診療連携拠点病院で,高齢終末期がん患者の在宅移行に対して複数回の支援経験を有し中堅〜エキスパートに位置する病棟看護師5人を対象に,半構成的インタビューを行い,在宅移行支援に関する経験を語ってもらった。作成した逐語録から支援経験を抽出し質的に分析した.結果:在宅移行を支援した看護師の経験は,【在宅療養に価値をおく】【患者・家族の在宅移行への覚悟を支える】【在宅移行のタイミングをのがさない】【在宅移行への安心を保証する】【ネットワークを強める】の5つのカテゴリーと13のサブカテゴリーから構成されていた.考察:高齢終末期がん患者の在宅移行支援を促進するために,がん診療連携拠点病院が取り組むべき看護師への教育的課題として,【在宅移行のタイミングをのがさない】【在宅移行への安心を保証する】ことへの看護師の認識の強化や,【患者・家族の在宅移行への覚悟を支える】【ネットワークを強める】教育,ならびに最も重要で困難な【在宅療養に価値をおく】に対して,看護師の移行支援経験の積み重ねや訪問看護師による支援の評価をとおして,看護師が在宅移行支援に関心をもち在宅療養に価値が見いだせるよう教育していく必要性が示唆された.

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© 2015 一般社団法人 日本地域看護学会
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