2016 年 19 巻 3 号 p. 33-40
目的:分娩取扱医療機関に所属する助産師の保健機関に所属する保健師との連携の実態について,施設形態の比較を通して明らかにすることである.
方法:分娩取扱医療機関の助産師1,000人を対象に,保健師との連携の有無,必要性,方法,内容などに関する無記名自記式質問紙調査を実施した.
結果:376人(有効回答率38.0%)から回答が得られ,病院所属が183人(48.7%),診療所所属が193人(51.3%)であった.助産師の88.6%が,保健師と連携を「している」「どちらかといえばしている」と認識していた.また,医療機関の支援に限界があること,ハイリスクの母児が増えていることなどから98.2%が連携を「必要である」「どちらかといえば必要である」と考えていた.連携方法は全体として電話連絡が最も多く,ケース検討会および連絡票などの文書の活用が病院に有意に多かった.連携内容は,全体として情報提供をすることが最も多く,情報提供を受ける,援助の目的を一致させることなどが病院に有意に多かった.また,連携時間は,全体として勤務時間内が最も多く,休暇日の活動が診療所に有意に多かった.
考察:助産師は保健師との連携が必要であると認識し,連携していた.また,課題を抱える家族に関して意識的に情報の送付・授受を行っていた.ケース検討会や会議などを通して関係を構築する必要性が示唆された.