日本地域看護学会誌
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精神障害者家族会への専門職による支援内容と評価指標の作成 : 評価指標を用いた設立支援と現在の支援の比較検討
蔭山 正子金川 克子大島 巌
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2000 年 2 巻 1 号 p. 11-16

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抄録

精神障害者家族会への専門職による支援内容を把握して支援を評価する指標を作成すること,および,作成した評価指標を用いて家族会が設立されるまでの支援(以下,設立支援とする)と現在の支援を比較検討することを目的とした.実際に家族会を支援している専門職から支援内容を把握し,支援に関する質問項目を作成した.作成した質問項目を用いて郵送法による全国調査を実施した.調査対象とした家族会は,1990年以降に専門職が支援して新しく設立された全国の地域家族会150団体(回収率81.1%)であり,調査対象者は,各対象家族会の設立を支援した専門職と,現在家族会を担当している専門職である.作成した質問項目から設立支援と現在の支援に共通する因子構造を持つ項目23項目を選択し,評価指標を作成した.各因子は,「相互援助機能支援」「対外的活動支援」「運営業務遂行支援」「代行支援」「関係機関への働きかけ」「個人支援」の6因子であり,これを支援の種類とした.6種類23項目で構成する家族支援の評価指標について妥当性と信頼性を検討した.作成した評価指標を用いて,設立支援と現在の支援を比較すると,設立支援は「対外的活動支援」以外の全種類で現在の支援よりも実施の程度が高かった.特に,設立支援では,多くの専門職が「相互援助機能支援」を実施していた.また,「代行支援」については,設立支援では実施の程度が高かったが,現在では低くなっており,設立支援と現在の支援で差が大きかった.これらから,設立支援は現在の支援と比べて,相互援助機能支援と代行支援を中心とした精力的な支援が行われていることが明らかになった.

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© 2000 一般社団法人 日本地域看護学会
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