日本地域看護学会誌
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保健行動の変容に関連するヘルスプロモーションの唱道プロセス : 保健婦の活動経過より
西嶋 真理子小西 美智子
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2000 年 2 巻 1 号 p. 36-43

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抄録

本研究の目的は,ヘルスプロモーションの活動原則である唱道に焦点を当て,保健婦が行った唱道プロセスを分析し,保健行動の変容における保健婦の役割を考察することである.調査対象は,日本看護協会の先駆的保健活動交流推進事業の一環として報告された市町村の保健活動21事例,健康なまちづくりの活動例1事例および住民参加型の地域保健活動の推進モデル事業3事例,計25事例の市町村保健婦とした.方法は,保健婦の唱道によるヘルスプロモーションの5つの活動方法ごとの手応えや変化,保健行動の変容,市町村の概要等自記式アンケートにより調査した.また送付を依頼した資料も分析に使用した.アンケートの回答があったのは14事例(56.4%)であったが,保健婦の唱道のプロセスがアンケートおよび資料から読み取れた13事例について分析した.その結果,以下の結論を得た.(1)保健婦の唱道プロセスから共通の働きかけを用いた5つのグループに分類でき,各グループの活動の展開方法は地域特性や地区のニーズを反映していることが考えられた.(2)活動の契機の多くは保健婦活動から生じた問題意識から発展しており,首長等政策決定にかかわる者への働きかけとともに,住民の活動を支援していた.また,関係者にとって衝撃となる事態やモデル事業が活動の推進力となった活動もみられた.(3)ヘルスプロモーションへ最も発展した活動の唱道プロセスは,活動の早い時期から住民との対話を続け,住民を政策決定のパートナーとしてともに活動を展開していた.(4)ヘルスプロモーションへと発展した活動では住民の保健行動の変容も多くみられており,保健婦のヘルスプロモーションに向けての唱道が保健行動の変容にかかわっていることが示唆された.

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© 2000 一般社団法人 日本地域看護学会
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