目的:本研究は,保健師が運営するグループ支援を利用した母親を対象として,子どもへの接し方に悩んでいた状況が改善していく過程で,どのように子育てに対する考えや気持ち・子どもへの接し方が推移していくのかを明らかにすることを目的とした.
方法:A市で実施していたグループ参加者(2008年度6人,2009年度4人)を分析対象とした.参加中の話し合いの録音と参加毎の感想文の記入,参加初回・終了時・終了半年後の3時点で質問紙調査と面接調査を実施し,「子どもへの接し方を振り返っての気づき」を抽出し,質的記述的分析を行った.
結果:「子どもへの接し方を振り返っての気づき」から抽出された<カテゴリー>は各時期で特徴がみられた.参加中に<いままでの子育てや自分の子ども時代を内省しながら子どもへの接し方が改善するように努める>ようになり,終了時には<子どもへの接し方が改善したり周りを頼ることができるようになったと感じる>ようになり,終了半年後には<子育てや家事に対する新しい価値観を得ることで子どもに不必要にイライラしなくなる>ことを実感していた.一方で,子育てについての悩みや不安は各時期に存在していた.
考察:母親はグループ参加を通じて子どもへの接し方を変えていく努力を積み重ね,新しい価値観の獲得に至っていた.保健師が安心して話せる場を提供し内省を促すことにより,母親の成長を支える一助になると考えられた.