2017 年 20 巻 1 号 p. 62-68
目的:保育所における感染症対策強化のため,幼児が感染予防のための手洗いを習得できることを目指し,保育士の意識と幼児や保護者へのかかわりが変化する過程と保健所保健師の支援のあり方を検討する.
方法:現場の変化を目指し介入していくためアクションリサーチを用いた.現場の変化および計画の実践状況をみながら1~2か月に1回程度の検討と介入を繰り返し,保育士の意識とかかわりの変化を分析した.子どもの手洗いの習得状況は手洗い評価基準により確認した.
結果:7回の検討会により,子どもの手洗い指導等が計画・実施された.この結果,保育士の意識とかかわりは7段階で変化し【子どもの手洗いと保育士のかかわりの変化に向けた取組の開始】【子どもの手洗いの変化に向けた“個人”の取組】【“個人”の取組から“園全体”の取組へ】【子どもの変化に即した取組へ】【子どもの手洗いの定着に向けた取組】【取組の評価と今後の取組への意欲】【地域への広がりを考えた取組の検討】に整理できた.また,子どもの手洗いは研究終了時点の手洗い評価基準点数が研究開始前と比較し有意に高かった.
考察:本研究における保育士の意識とかかわりの変化は,検討会等によりリフレクションが繰り返されたことによって促されたものと考えられ,この変化が子どもの手洗いの変化につながったと考えられる.また,保育所の感染症対策強化のため,現場への教育的支援と協働で取組を行うことの必要性が保健師の役割として示唆された.