目的:震災後の福島県民の健康問題について,研究の動向を先行研究より明らかにし,ヘルスケア支援の示唆を得ることを目的とした.
方法:医学中央雑誌Web版を使用し,2011年4月~2015年3月までに発表された論文で福島県民の健康に関する論文を抽出し28件の論文を分析の対象とした.調査対象者を「妊産婦」「乳幼児と保護者」「児童生徒」「成人」「高齢者」に分け,健康問題を,「身体的健康問題」「精神的健康問題」「社会的健康問題」に分け,知見を整理した.
結果:福島県民の健康問題は,避難者の避難生活に伴ううつ状態などの精神的健康問題と,孤立などの社会的健康問題があった.県民のなかには,放射線健康不安から,精神的不調などが出現していた.
考察:避難者は,生活環境や対人関係の変化から精神的健康問題が生じており,地域の実情に応じた個別支援が重要である.県民は,将来への内部被ばく不安を持ち続けている可能性があり,根拠に基づいたわかりやすい放射線健康情報の提供継続が重要である.なお,今後自治体等は,自然災害と原子力災害の備えをすることが重要である.