目的:家族の会に参加する若年認知症者の配偶者介護者は,地域を基盤とした人とのつながりをどのように受け止めているのかを明らかにすることを目的とした.
方法:研究方法は質的研究方法であった.若年認知症者の配偶者介護者8人に対して,半構成的面接を実施し,人とのつながりについて自由に語ってもらった.データから逐語録を作成し,コード化,カテゴリー化を行った.
結果:分析の結果,前提として2つ,人とのつながりで6つのカテゴリーが抽出された.若年認知症の配偶者介護者は,若年認知症の発症後,生活が一変するなかで,【「病気」になった配偶者の本人らしい生活の維持】のために生活を再構築し,これは人とのつながりの前提となっていた.家族の会での人とのつながりで【介護者としての自分の素直な感情の表出】ができることで,さらに【自分のために思うままに時間や空間を使っての楽しみ】や【介護者としての新たな役割や使命による社会とのつながり】へと人とのつながりが広がっていた.また,介護役割以外の人とのつながりに,【介護者役割以外での社会的役割の全う】を意識していた.
考察:介護者にとって,家族の会の人とのつながりは数少ない介護者同士のつながりであり,共感や承認が得られることの重要性は高い.さらに,社会的役割があることは,社会から必要とされていると感じられるという意味をもつと考えられる.