目的:本研究の目的は,電気機械器具製造業に従事する労働者における睡眠の実態と関連する要因を明らかにし,産業看護職による睡眠への支援についての示唆を得ることである.
方法:電気機械器具製造業A社社員645人を対象に質問紙調査を実施した.調査項目は,アテネ不眠尺度8項目版を用いた睡眠の自己評価,平均睡眠時間,睡眠時の環境,日常生活について,睡眠の認識とし,各項目と睡眠の自己評価,平均睡眠時間との関連について,相関係数の算出,χ2検定,多重ロジスティック回帰分析を行った.
結果:睡眠の自己評価は,「心配なし」49.7%,「やや不眠症の疑い」23.6%,「不眠症の疑い」26.7%であった.平均睡眠時間は5時間49分であった.睡眠の自己評価と平均睡眠時間の間にはやや強い相関がみられた.χ2検定の結果では,「仕事上のストレス」「職場の人間関係の悩み」など40項目中13項目で有意な関連がみられた.さらに,睡眠の自己評価との間に有意な関連がみられた要因について多重ロジスティック回帰分析を行い,その結果,「同居者」「育児」「睡眠で疲労が回復する」「睡眠の知識を得たい」の4項目で有意な関連がみられた.
結論:本研究の結果から,一定の睡眠時間の確保,職場の環境や生活背景などを踏まえた支援が必要であることが明らかになった.産業看護職は,労働者が良好な睡眠を維持しながら働き続けることができるよう,実態をとらえ,きめ細かい支援をしていくことが必要であると考えられる.
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