2018 年 21 巻 2 号 p. 4-13
目的:本研究は,事業化のストラテジーの構成概念間の構造を明らかにすることを目的とした.
方法:自治体の保健師を対象に,1事例の事業化経験について回答を求める,郵送法・無記名自記式質問紙調査を実施した.事業化のストラテジーの構造を活動とその成果の因果モデルで構築し共分散構造分析で検証した.
結果:885人の研究協力が得られた.事業化のストラテジーの活動部分と成果部分は,それぞれ5つの構成概念からなった.因果モデルは,3つのフェーズをもった構造となった.モデルの適合度はGFI=0.931,AGEI=0.916,CFI=0.942,RMSEA=0.042であった.フェーズ1は活動部分の≪自主的参加に向けた対象者支援≫≪実施に向けた合意形成≫≪企画メンバーによる全過程の共有≫≪魅力ある事業内容≫≪対象者理解≫であり,フェーズ2は≪よりよい施策化への発展≫≪連携体制の強化≫≪対象者の主体的変化≫,フェーズ3は≪目的に対応した成果≫≪専門性の向上≫で成果部分であった.
考察:保健師による事業化のストラテジーには,住民の主体的変化を目指すストラテジーと支援体制を強化し施策化への発展を目指すストラテジーの2つがあると明らかになった.