2019 年 22 巻 1 号 p. 26-34
目的:地域住民の健康観と生活習慣との関連を明らかにする.
方法:B町の20~65歳未満の地域住民から層化無作為抽出法により抽出した3,510人を対象に質問紙調査を実施した.健康観の質問項目として,健康の判断基準は,島内らの先行研究等から質問項目を作成した.健康観の尺度は,「健康に関するコントロール所在(HLC)尺度」「生活行動に対する保健行動の優先性尺度」等を用いた.分析は,年代別と健康の判断基準および生活習慣の関連はχ2検定と残差分析,年代別と健康観の尺度との関連は一元配置分散分析,多重比較等を行った.健康観と生活習慣の関連については,ロジスティック回帰分析を行った.
結果:質問紙に回答があった845人(回収率24.1%)のうち,843人(有効回収率24.0%)を分析対象とした.健康の判断基準では,「心身ともに健やかなこと」を健康と考える人がもっとも多かった.HLC尺度では,30歳代の得点がもっとも低く外的統制傾向であった.保健行動の優先性は,60歳代が保健行動を優先する傾向が強かった.生活習慣にもっとも関連する健康観は,保健行動の優先性であり,保健行動の優先性が高い人は生活習慣の良好群が不良群と比較し,約1.6倍であった.
考察:健康観および生活習慣には年代別による差がみられるため,生活習慣の把握とともに個人の健康観を重要視し,年代による特徴に合わせた支援を行うことが重要であると考える.