2020 年 23 巻 1 号 p. 23-31
目的:特定保健指導非該当である壮年期事務職男性の健診結果の受け取りにおけるヘルスリテラシーの様相を明らかにし,今後の健診を活用した健康づくりに向けた示唆を得る.
方法:対象は,首都圏の壮年期男性事務職6人である.リサーチクエスチョンは,「特定保健指導非該当者である壮年期男性事務職は,健診結果をどのように理解,評価,活用しているのか」である.個別の半構造化面接によりデータ収集し,質的帰納的分析法によりデータ分析した.本研究は,所属研究機関により承認を受けて実施された.
結果:壮年期男性事務職の健診におけるヘルスリテラシーの様相について,理解については,【現在の身体状況を大まかに読み取る】【将来の健康状態をおぼろげに察する】【健診と健康の重要性を改めて知る】,評価については,【日常生活と照らし合わせ意味づける】【自分の健康状態を解釈する情報として意義は認める】【入手した情報を手がかりに自己判断する】,活用については,【疾病リスクへの予防意識を高める】【健康維持・増進の緩めの縛りとして役立たせる】の計8つのカテゴリーが抽出された.
考察:特定保健指導非該当である壮年期事務職男性の健診を活用した健康づくりの推進に向けては,個別支援として健診結果の通知のあり方や活用を向上すること,環境づくりとして健康づくりを支える人材や体制の整備が必要である.