目的:親の介護をしながら働く女性看護師のワーク・ファミリー・コンフリクト(以下,WFC)と,就業継続意思,介護環境,職場環境,家事の協力状況との関連を明らかにする.
方法:親の介護をしながら働く女性看護師を対象に無記名自記式質問紙調査(郵送法)を実施した.分析対象者は全国の病院に勤務する女性看護師480人であった.WFCは親の介護をしながら働く女性看護師のWFC尺度(FN-WFC)により測定し,FN-WFC得点を従属変数とする重回帰分析を行った.
結果:対象者の年齢は52.3±6.8歳で,FN-WFC得点は46.8±12.3点(最小値16.0点,最大値68.0点)であった.FN-WFC得点と有意な関連が認められたのは,介護環境では,介護のために夜中に起きる(β=-0.243, P<0.01),受診に付き添う(β=-0.114, P<0.01),職場環境では,職場の労働負荷(β=-0.273, P<0.01),家事の協力状況では,掃除の協力(β=-0.115, P<0.05)であった.
考察:ケアマネジャーや訪問看護師等は,女性看護師の介護の負担状況をみながら,利用できる介護保険サービス等を紹介し,家族で協力し合えるよう支援していくことが重要である.職場においては,女性看護師の介護の負担状況に応じて,上司等が両立支援制度等の情報提供と利用の検討を行い,仕事量や働き方を調整していくことが重要である.
抄録全体を表示