日本地域看護学会誌
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認知症高齢者の生活支援に向けた地域包括支援センター保健師のコーディネーションの現状と課題
岡野 明美
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2022 年 25 巻 1 号 p. 40-47

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抄録

目的:認知症高齢者の生活支援に向けた地域包括支援センター保健師のコーディネーションの現状と課題を明らかにする.

方法:全国の地域包括支援センター保健師509人に郵送法による無記名自記式質問紙調査を行った.調査内容は,個人属性,認知症高齢者の生活支援に向けたコーディネーション,地域づくり活動項目(地域ケア会議の参加回数,地域診断実施の有無)とした.分析は,記述統計,個人属性と地域づくり活動項目との関連についてMann-Whitney U検定を行った.

結果:分析対象は136人(有効回答率26.7%).対象者の平均年齢は42.2歳であった.認知症高齢者をアセスメントし,医療と介護につなげる項目の得点平均値は4.0~4.5でおおむね実践していた.しかしBPSDや治療中断,税金等の滞納状態のある認知症高齢者へのコーディネーション項目の得点平均値は3.4~3.7で低かった.また,第1因子~第3因子の間でもっとも得点平均値が低かったのは,地域のなかで認知症高齢者を支える人や場所を創出する項目群である第3因子であった.検定により有意な差が認められた因子は,地域包括支援センター保健師経験年数,地域ケア会議の年間参加回数,地域診断実施の有無であった.

考察:地域ケア会議の参加回数や地域診断の実施が少ない要因は,実施の位置づけや実施目的を保健師自身が明確にできていないことが考えられた.尺度に示す第3因子の実施を促すためにも地域ケア会議の参加や地区診断の実施が求められる.

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