2022 年 25 巻 1 号 p. 31-39
目的:会食会に参加した独居高齢者の低栄養の高リスクと身体的・心理社会的健康との関連を明らかにする.
方法:A市の独居高齢者会食会に参加している対象者に,無記名自記式質問紙調査を行った.従属変数をNutrition Screening Initiative(NSI)により評価した低栄養リスク(高リスク=1)とし,独立変数を身体的・心理社会的健康として多変量ロジスティック回帰分析を行った.
結果:すべての質問に回答した283人(有効回答率78.0%)を分析対象とした.本研究における低栄養の高リスク群は90人(31.8%)であった.高リスクと関連があったのは,「糖尿病で通院あり」(オッズ比3.25,95%信頼区間1.41─7.52),「食べ物の飲み込みにくさあり」(オッズ比4.03,95%信頼区間1.79─9.09),「主観的健康感が健康以外」(オッズ比4.91,95%信頼区間2.32─10.40),「友人に会う頻度が週1回未満」(オッズ比2.39,95%信頼区間1.23─4.64),「家族に食料品の買い物を頼むことがある」(オッズ比10.96,95%信頼区間1.06─113.82)であった.
考察:独居高齢者を対象とした会食会の参加者の約3割が低栄養の高リスクであり,先行研究における要介護認定を受けているものと同程度もしくは多かった.糖尿病通院歴が低栄養の高リスクと関連していたため,糖尿病の通院や食事療法の状況を確認し健康相談を勧奨することが低栄養の高リスクに有用であると考える.また,独居高齢者が買い物の自立を継続できるような支援や食に関する社会資源の拡充も低栄養の高リスク予防につながると考える.