日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
全国市区町村における災害時の共助を意図した平常時の保健師活動
細谷 紀子佐藤 紀子杉本 健太郎雨宮 有子泰羅 万純
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キーワード: 保健師, 共助, 防災, 市町村, 平常時
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2022 年 25 巻 2 号 p. 4-12

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抄録

目的:全国市区町村で行われている災害時の共助を意図した平常時の保健師活動を明らかにする.

方法:2019年中に災害救助法適用があった箇所を除く1,463市区町村の統括保健師を対象に郵送による無記名自記式質問紙調査を行った.災害時の共助を意図した活動実施の有無と実施有の場合その概要(自由記述)を調べ,活動の対象や方法の類似性で分類整理した.

結果:調査回収数は541件,有効回答535件(36.6%)であり,共助を意図した活動「実施有」は160件(29.9%)であった.活動内容は199コード,50小カテゴリー,21サブカテゴリー,9カテゴリーを得た.カテゴリーは「住民グループを単位に災害への備えについて話し合いや訓練を行う」「地区組織等と共に要支援者を包摂する防災体制づくりを行う」「保健事業や健康イベントと災害時の共助に向けた活動を連動させる」「多様な方法や内容による教育活動を住民対象に行う」「地域包括ケアや子育てを趣旨とする会議体で防災や共助について協議や対策を行う」などであった.

考察:全国市区町村で行われている災害時の共助を意図した平常時の保健師活動の特徴は,「要配慮者を包摂する共助を生み出す住民グループへの支援と協働」「日々の保健活動との連動による災害時の共助を推進するポピュレーションアプローチ」「平常時および災害時の共助を恒常的に機能させるシステムづくり」と考えられた.

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© 2022 一般社団法人 日本地域看護学会
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