2022 年 25 巻 2 号 p. 13-22
目的:地域包括支援センターの看護職が行う独居の認知症高齢者の症状の進行段階に合わせた支援内容を明らかにする.
方法:地域包括支援センターでの経験年数5年以上の看護職10人を対象に半構造化面接を行い,得られたデータを質的記述的に分析した.
結果:6つのカテゴリー,36のサブカテゴリー,109のコードが抽出された.看護職は認知症高齢者の【現状を把握し今後の進行状態を予測する】ことから必要な支援を選択していた.看護職は【困ったときに思い出してもらえる人になる】ために信頼関係を築き,【地域で安心して生活できる環境をつくる】ための働きかけを行っていた.さらに症状が進むと介護保険サービスを活用し【独居生活を続けるために必要なサポートにつなぐ】ことを経て【次の支援チームへのかけはしとなる】役割を担っていた.そして,これらの支援を行ううえで基盤となるものは,常に【その人らしく生きることを支える】という姿勢であった.
考察:地域包括支援センターの看護職は認知症高齢者と早い時期から信頼関係を築く努力をし,互助から共助へと進行段階に合わせた適時適切な支援を行っていた.そして,築いた関係性を基盤として,認知症高齢者の意思決定を支援し,その意思を尊重し,その人らしい生き方を支えることを大切にしていた.たとえどの時期からの関わりであっても常にその人らしさの軸がぶれないように支援の方向性を定めていくことが重要である.