2022 年 25 巻 2 号 p. 40-47
目的:保健師教育課程選択制の大学における,学生の保健師教育課程選抜試験受験の背景を明らかにする.
方法:A大学の保健師教育課程4年生14人に,個別で半構成的面接調査を実施した.選抜試験受験の背景やきっかけと判断できる語りを抽出してコードを作成し,質的記述的分析を行った.
結果:選抜試験受験の背景として,【「手に職」志望】【親の勧め】【保健師との接点】【公衆衛生看護学的視点の素地】【公衆衛生看護学への関心】【将来の職業への迷い】【保健師になる初志の貫徹】の7つのカテゴリーが抽出された.
考察:学生の多くは,【「手に職」志望】であった.そのなかでも,入学前から【保健師との接点】があった者や,これまですごしてきた家庭環境・社会環境の影響を受け【公衆衛生看護学的視点の素地】をもつ者は,入学時点で保健師になることを志望していた.さらに,彼らは,【保健師になる初志の貫徹】により選抜試験を受験する傾向にあった.ほかにも,【親の勧め】が影響し受験する者もいた.入学後は,【公衆衛生看護学への関心】がもてるような講義や実習を展開することで,学生が保健師を将来の職業の1つとしてとらえ,保健師教育課程の履修を希望する可能性がある.また,選抜試験を受験したものの,保健師と看護師のどちらにするか【将来の職業への迷い】を抱く学生の内情も垣間みれた.そのような学生に配慮した教育や職業選択における支援も必要である.