2022 年 25 巻 3 号 p. 37-45
目的:住民主体の介護予防活動内での参加者同士のソーシャルサポート授受を促すきっかけと工夫を明らかにすることである.
方法:研究参加者は住民主体の介護予防活動11グループでリーダーとして活動している16人である.データ収集は半構成的インタビューを行い質的に分析した.
結果:研究参加者の性別は男性6人,女性10人で,平均77.3歳であった.リーダーが捉える活動のなかで参加者同士のサポート授受を促すきっかけは【地域住民同士のつながりの必要性への気づき】【近所で頻回に顔を合わせる気軽な機会が大事という実感】の2つのカテゴリーが抽出された.サポート授受を促すための工夫は【参加者同士がつながりやすい雰囲気づくり】【参加者1人ひとりを大事にした関わり】【参加者ができそうと思えることを引き出す】【負担感なく役割を担える働きかけ】【あえて役割を決めず自然に参加できる流れづくり】の5つのカテゴリーが抽出された.
考察:介護予防活動を通して地域のつながりを構築したい思いが,活動内のサポート授受を促すきっかけとなっていることが明らかとなった.リーダーは活動のなかで参加者1人ひとりを大事にし,参加者の潜在能力を引き出す関わりとサポートしやすい雰囲気づくりを大事にしていた.活動内で役割を担うことについては,参加者の状況に応じた対応が必要である.介護予防活動を通じて,住民同士がサポートし合う地域づくりにつなげることが重要である.