目的:精神障がいを抱える親の妊娠から子育てにおける支援ニーズを当事者の認識に基づいて具体的に記述することを目的とした.
方法:質的記述的研究とした.18歳未満の子をもつ精神障がいと診断されている親10人(女性8人,男性2人)に個別の半構造化面接を行った.逐語録から「当事者の支援ニーズとはどのようなものか」という視点でコードを作成し,抽象度を上げて小・中・大カテゴリーを作成した.支援ニーズは妊娠期から学童期までの時期,支援者の違いを検討した.
結果:精神障がいを抱える親の支援ニーズとして【病気で差別されない・しないようにしてほしい】【妊娠・授乳中に服薬の説明や病状悪化時の備えがほしい】【病状や障がいによる家事や育児のできないところを補う支援がほしい】【障がいを抱えながらでも親であれるように支えてほしい】【連携して親子を支援してほしい】【身近なところで気にかけて話を聞いてほしい】の6の大カテゴリー,《病状悪化時に子どもに当たらないよう支援してほしい》など16の中カテゴリーが生成された.
考察:当事者が差別や偏見を受けないような対応や配慮,周産期における服薬や病状への支援,家事・育児負担の軽減,病状悪化時も子どもと暮らせるようなリカバリー志向の親支援,当事者自らも子どもに当たらずにすむ支援,親という共通性に立つ支援,支援者間で連携した支援,本人の了解を得た情報提供,相談しやすい相談体制が必要だと考えられた.