目的:デイサービス(DS)は一次~三次予防まで兼ね備えた介護保険サービスのひとつであり,需要は高まっている.看護職の自律性は,他職種と連携・協働において専門職の役割が認められ,他者から拘束・制限を受けずに行動・判断・選択ができ,意思決定や熟練した技術を実践できることを意味している.本研究の目的は,DSに勤務する看護職の自律性とその関連要因について明らかにすることである.
方法:全国老人福祉施設協議会に登録されているDS 4,214か所から,1,771か所を無作為に抽出した.1か所のDSにつき看護職1人を対象とし,無記名自己記入式質問紙による郵送調査を行った.調査項目は,個人的要因が基本属性,看護職としての自己実現等,施設の特徴は現在の役職等,組織的要因は労働環境等,看護職としての自律性とした.
結果:403件の返信があり(回収率22.8%),看護職の自律性を測定する自律性尺度(DPBS)日本語版尺度に欠損がなく,協力の同意が得られた344人(有効回答率19.4%)を調査対象とした.DPBS全体の平均得点±SDは,93.0±14.5であった.ロジスティック回帰分析の結果,個人的要因は看護職としての自己実現,施設の特徴は現在の役職等が,組織的要因は働きやすい労働環境が自律性と有意な関連があった.
結論:自己実現に働きかける支援等を行うことが,DSに勤務する看護職の実践能力および高齢者支援の質の向上につながることが示唆された.
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