2023 年 26 巻 1 号 p. 77-83
目的:保健所の地域精神保健福祉業務において暴力予防を行うために,地域精神保健福祉従事者が工夫していることや心がけを明らかにすることを目的とした.
方法:県保健所に在籍する地域精神保健福祉従事者17人に半構成面接によるインタビュー調査を行った.分析方法は,逐語化したインタビューデータの計量テキスト分析(テキストマイニング)として階層的クラスター分析を用いた.
結果:分析の結果,9つのクラスターが抽出され,クラスターの意味や内容に基づいて4つのカテゴリー【支援対象者との近接圏でのチューニング】【リスク軽減を主目的にした護身的準備】【家族・スタッフとの協力体制の運用】【移送時の周到な人員配備】に分類された.
考察:地域精神保健福祉従事者が暴力を予防するための工夫および心がけは,支援対象者との相互の関わりのあり方に注力しながら,個人的・組織的に暴力のリスクを軽減することを重視することであった.